定期健診
定期健診について
定期健診でわかること
- むし歯むし歯(齲蝕)は口腔内の原因菌が酸を出して歯を溶かすこと(脱灰)により穴があいてできます。
目で見える歯の表面だけでなく歯のつけ根や歯と歯の間などの直接見えないところにもできやすいものです。
一度治療して詰め物や被せ物を入れたところの境目から新たなむし歯ができることもあります。
セルフチェックだけでは見落としやすい部位を専門家の視点、レントゲン写真や口腔内写真を活用し確認します。 - 歯周病食べかすや歯垢(プラーク)が歯のまわりに蓄積すると歯ぐきが炎症を起こします。
それらの蓄積を放置すると気づかないうちに菌が繁殖して炎症がさらに進行し歯ぐきの下にある歯を支える骨(歯槽骨)が解けてしまいます。
すると歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)が深くなり膿が出るようになって、さらには歯がぐらつくようになります。
こうした状態が歯周病(歯槽膿漏)になります。
歯茎の問題の有無や進行状況を把握することが予防や治療にはとても大切となります。 - 歯垢や着色などの汚れ口腔内には様々な常在菌が存在し、むし歯や歯周病の原因菌もその中に含まれます。
歯垢(プラーク)はそんな菌の塊で蓄積することで歯の病気を引き起こします。歯垢を放置すると段々と硬くなり歯ブラシで除去ができない歯石となって歯に沈着します。
歯石は菌や汚れの土台となり歯周病をらに悪化させます。歯垢や歯石の蓄積は強い口臭の原因にもなります。
コーヒーやたばこなど食品や嗜好品の中には歯に沈着することで着色をおこすものが多く存在します。歯垢や着色物は日々の歯磨きだけですべて取り除くことはとても困難です。
患者様それぞれの生活習慣や口腔内でどこに汚れがつきやすいかを確認しクリーニングを行い、適切な歯磨き指導を行います。 - 歯みがきの指導歯みがきは毎日行う必要がある大切な習慣ですが、きちんと行おうとすると手間がかかります。
すると朝時間がないとよくみがかない、みがかないままにするなど習慣は人によって様々です。
さらに歯並びや被せ物の数、入れ歯の有無などお口の中には個人差があり、時間をかけてもみがき残しがあることが多いです。
1人ひとりに合った歯ブラシ・フロス・歯間ブラシなどの正しい使い方をお伝えします。 - その他口の中の病気のチェックむし歯や歯周病の歯の周りの他に舌や唇など口腔内の粘膜にできる病気もあります。
代表的なものとして口内炎があります。
口内炎は粘膜を噛んだりして傷になった箇所の局所的な原因と、全身的な疾患が原因のものがあります。
また、口腔粘膜の異常は噛み傷でできた口内炎のように1~2週間で治癒する軽症なものから、口腔がんなどの大きな病気に関係するものもあります。
普段から口腔内を清潔に保つとともに、定期的にチェックして異常がないかを確認することが大切です。
定期健診を行うメリット
- 早期発見 早期治療歯科疾患は異常を早く見つけることで歯を削ることを回避したり、重症化する前の早めの治療で削る量を抑えられることが多いです。
むし歯は原因菌が口腔内に残留した糖質などの栄養素から酸を生み出し、歯を脱灰させ時間をかけて穴をあけて大きくなっていきます。
定期健診を実施することで口腔清掃状態が改善することで酸の産生を抑えられ、わずかな脱灰であれば唾液の成分により歯が修復されるように働きます(再石灰化)。
仮に穴ができたとしても大きく深いむし歯に比べて早期治療のむし歯は削る量が少なく術後に痛みが出る確率が大幅に下がります。
むし歯同様に歯周病も自覚症状がなく進行する傾向があります。
歯周病が進行して歯がぐらつく前に基本治療や歯磨き指導により歯ぐきの炎症が改善し外科処置をせずに済むケースもあります。 - 治療したところの経過観察ができるむし歯の治療は一度終わった箇所も歯と人工物の境目から二次的なむし歯を作ることがあります。治療部位に変化がないかどうかを診させていただき、その度に経過観察か再治療が必要かの判断をします。歯周病の治療は期間を置いて歯ぐきをチェックし歯周ポケットや腫れが改善したか否かをみることによって、クリーニング中心のメンテナンスに移行するか歯周外科処置が必要か判断します。
- モチベーションの維持歯科の治療が終わった後は次回来院されるまで期間があきます。
治療終了後はむし歯にならないようにしっかり歯みがきをしていただいていると思っています。
しかし次回来院されるまで期間も空くので適切な歯みがきがなされているか口腔内の客観的な判断は日常生活の中でなかなか難しいことです。
フロスを初めは使っていたけど段々つかわなくなったり、忙しくて歯みがきの回数や、一回あたりにかける時間が減ったりと、しっかり磨けているように感じていても、様々な理由で目で見えにくいところに磨き残しがあったりします。
定期的にPMTCを繰り返すことで皆様の口腔ケアへモチベーションを維持していきます。 - 全身疾患の予防歯周病とは歯を支える歯ぐきや歯槽骨が壊されていく病気で、自覚症状のないまま重症化していきます。
歯周病の原因となるプラーク(歯垢)の中にいる歯周病菌が歯ぐきを攻撃し、身体は防御反応として発赤、腫脹、出血などの炎症症状を引き起こします。
歯垢を放置すると歯周ポケットの奥に潜り込み歯周組織の深いところまで炎症が波及していきます。
このようにして歯周病は出血を繰り返す歯ぐきの周りに細菌や毒性物質が滞ることとなり、それらが血管に侵入し続けるため様々な病気を引き起こしたり悪化させたりします。
その代表的な病気が糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞などです。
また口腔内環境の悪化で増えた歯周病菌が誤嚥により気管支に侵入し引き起こされる誤嚥性肺炎も大きな問題となります。- 糖尿病
加えて、歯周病菌が炎症を起こしている歯ぐきの毛細血管から血液中に入り込み、細菌に含まれる毒素がインスリン分泌機能を低下させて糖尿病を悪化させると考えられています。
つまり、歯周病と糖尿病は、相互に悪影響を及ぼしあっていると考えられ、歯周病治療が糖尿病の改善に関わるとされています。- 狭心症 心筋梗塞 脳梗塞
不適切な生活習慣が原因とされていましたが、歯周病菌などの細菌感染も大きな関わりがあることがわかってきました。
血管内に侵入した歯周病菌をマクロファージが処理した後、血管の内壁に入り込み泡沫細胞と変化することで圧迫して血液の通り道を狭くしてしまいます。
こうして動脈硬化が悪化し様々な血管の病気に発展します。
歯周病の予防や治療が動脈硬化の予防のために必要といえます。- 誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎とは口の中の細菌が唾液とともに肺に入り込んで引き起こされる肺炎です。
高齢になってきますと食べ物を噛んで食塊にする咀嚼機能の低下やうまく呑み込めなくなる嚥下機能の低下、咳反射が起きにくくなったり誤嚥してもむせを感じなくなったりと様々な問題があります。
この際に口腔内が汚れていると細菌数が増え誤嚥性肺炎も引き起こしやすくなります。
予防のためにはまず適切な口腔ケアと清潔状態の維持がとても大切となります。
定期健診はどのくらいのペースで
通うのか良いのか
治療の続きがなく口腔ケアが適切に行われている場合には一般的に3~6か月が目安となります。
歯石は除去してから1か月以内で沈着し始めて磨き残しが多いと3か月以内に除去する前の状態に戻る傾向にあります。
歯石の付きやすさは個人差があり、歯磨きをしっかりしていても歯並びや被せ物などで歯ブラシがうまく当たらないところは綺麗な口腔内でも歯の根元や歯と歯の間のところに歯石ができてしまいます。
患者様一人ひとりの口腔内を確認し適切な定期健診の頻度をお伝えいたします。